防災士になって、1年が経ちました。それでもわたしは、9月1日が近づくと少しだけ身がまえてしまいます。「防災の日」というカレンダーの文字を見るたびに、何かちゃんとしなきゃ、という気配がやってくる。たぶん、こう感じているのは、わたしだけではないと思います。
調べてみると、「防災の日」は昭和35年の閣議了解で創設され、いまの「防災の日」と「防災週間」のかたちは昭和57年の閣議了解で定められています。内閣府はその趣旨をこう説明しています。「政府、地方公共団体等防災関係諸機関をはじめ、広く国民が、台風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波等の災害についての認識を深めるとともに、これに対する備えを充実強化することにより、災害の未然防止と被害の軽減に資する」。9月1日という日付には、1923年の関東大震災が起きた日であること、台風が来やすいとされる「二百十日」にあたることが関係しているようです。
読み返してみると、そこに書かれているのは「認識を深める」「備えを充実強化する」ということだけで、「今日中に非常持ち出し袋を完成させなさい」とは、どこにも書かれていません。防災の日は、年に一度、立ち止まって考えるための日であって、一気に完璧を目指す日ではないのだと思います。
それでも、9月1日が近づくと「ちゃんとしてなきゃ」という気持ちに引っぱられます。防災士のわたしでも、そうなります。SNSには防災グッズの特集が並んで、まだ何も揃えていない自分が、少し置いていかれたような気持ちになる。
だから今年は、逆から始めてみることにしました。新しく何かを買い足すのではなく、まず、すでに家にあるものを見てみる。
以前、食からの防災を考えていたときにも思ったのですが、非常食を新しく買うより先に、日常の在庫を見直すところから始めたほうが、続けやすいのです。台所の戸棚や引き出しの奥には、思っているより多く「もしもの時にも食べられるもの」が、すでに眠っていることがあります。
防災の日にやることは、特別な準備でなくていいと思います。まず、今持っているものを知ること。
今週のアクション:台所の棚をあけて、日持ちしそうな食品がいくつあるか数えてみる。缶詰でも、レトルトでも、乾麺でもいい。多くても少なくても、今日はまだ気にしない。数えたら、そっと閉めて大丈夫です。